16.指し手の一貫性

私は指導をする際に「対局は一曲のメロディーになるようにしましょう」と例えることがあります。

飛車先の歩を突き、銀を繰り出す。これは竜を作ろうという意思が見えてくる指し手です。しかし次の瞬間突拍子もなく角を動かそうとする。これは明らかに何かがおかしいと感じます。
また、もう少しで囲いが崩れるというところまできているのに、上手のたった一枚のと金に恐れをなして玉を守ろうとする。もちろん怖いという気持ちから来ているというのはわかりますが、初心者はこういうところから悪手に繋がったり、逆転されたりするきっかけとなることが多くあるのです。

少し音楽で例えてみましょう。みなさんは鍵盤をド、ミ、ソ…と叩いたら次の音は何を想像しますか?私なら正攻法で考えて一オクターブ高い「ド」、ちょっと趣向を凝らすなら「ラ」と思います。しかしそこで「シ」とか「レ」という音が次に鳴ると「いやいや、それは本当にやろうとしていた音なの??」と考えてしまいます(「シ」が次の「ド」の前置きならばそれもまた良しかもしれませんが…)。

指し手は自分が思い描いているメインの音に向かって準備をするはずなのに、急に予定変更をするときれいなメロディーにならない。だからなんとなく気持ちが悪い、違和感があるといった感じでしょうか。
目指す方向性が間違っているのならばそれはそもそものメロディーに問題があるということになりますが、折角目指していたにもかかわらず予定変更してしまうのは非常にもったいなく、実際に悪手となることが多いです。

そうならないためには指し手に一貫性を持つことが大切です。もちろん相手が攻めてきたので途中変更を余儀なくされる、という場合もありますが、自分が「竜を作りたい」「王手をしたい」などの気持ちをもって指したのならばそれをやり抜くつもりで指す方が良いでしょう。

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